1on1ミーティングで使える質問リスト
1on1ミーティングで使える質問リストを60個以上紹介。部下のタイプ別の質問例や目的別の整理で、マネージャーもメンバーも使える実践ガイドです。
「最近どう?」から始まる1on1、そろそろ卒業しないか
1on1ミーティング。毎週30分、マネージャーとメンバーが1対1で話す時間。多くの企業で導入されているこの施策、うまく機能しているだろうか。
現実には「特に話すことがない」「毎回同じような会話」「進捗確認で終わってしまう」という声が多い。マネージャー側も「何を聞けばいいかわからない」「本音を引き出せない」と悩んでいる。
1on1は質問の質で決まる。良い質問は相手の思考を深め、自己理解を促し、行動を変えるきっかけになる。逆に、漠然とした質問は漠然とした答えしか返ってこない。
この記事では、1on1で使える質問を目的別に整理した。そのまま使ってもいいし、自分の言葉にアレンジしてもいい。
1on1を始める前に:心構え
質問リストに入る前に、1on1に臨む姿勢について触れておきたい。どんな質問を使っても、この心構えがなければ効果は半減する。
1on1はメンバーのための時間
進捗確認や業務報告の場ではない。メンバーが「話したいこと」を話す場。マネージャーは聴き手に徹する意識を持つこと。
沈黙を恐れない
質問した後、相手が考えている時間は待つ。沈黙が怖くて次の質問をしてしまうと、相手の思考を遮ってしまう。「考えてくれているんだな」と思って待つ。
メモを取る
相手の発言をメモすることは、「あなたの話を真剣に聴いています」というメッセージになる。また、次回の1on1で「前回○○と言ってたけど、その後どう?」と聞けるので、継続的な対話ができる。
評価の場にしない
1on1で話した内容を評価に直結させると、本音は出てこなくなる。あくまで「対話の場」であり「査定面談」ではないことを明確に伝えること。
カテゴリ1:体調・コンディションを確認する質問
1on1の冒頭はここから。いきなり仕事の話に入らず、まず相手の状態を確認する。
- 「最近の調子はどう?」(定番だが、毎回聞くことに意味がある)
- 「睡眠はちゃんと取れてる?」
- 「仕事の量は今どんな感じ?余裕ある?パンパン?」
- 「ストレスを感じていることはある?」
- 「最近、仕事以外で楽しいことはあった?」
- 「1〜10のスケールで、今のコンディションはいくつ?」
この質問群のポイント
数字で聞く質問(スケーリングクエスチョン)は、相手が自分の状態を客観視するきっかけになる。「6くらいですね」と答えたら、「10にするために何があるといい?」と深掘りできる。
体調やメンタルの話は、信頼関係がないと本音が出にくい。最初は「大丈夫です」という返答が続くかもしれないが、継続的に聞き続けることで「この人には話してもいいんだ」という信頼が積み上がっていく。
カテゴリ2:仕事の状況を把握する質問
ただの進捗確認にならないよう、「状況」だけでなく「感じていること」にもフォーカスする。
- 「今取り組んでいる仕事で、一番手応えを感じているのは?」
- 「逆に、ちょっと行き詰まっている部分はある?」
- 「今の仕事で、もっとこうしたいと思っていることは?」
- 「何かサポートが必要なことはある?」
- 「直近1週間で、一番達成感があった瞬間は?」
- 「今の業務量は適切?多い?少ない?」
- 「優先順位で迷っていることはある?」
- 「他のチームや部署との連携で困っていることは?」
この質問群のポイント
「手応え」を聞くことで、本人がやりがいを感じているポイントがわかる。逆に「行き詰まり」を聞くことで、早い段階でサポートに入れる。
注意したいのは、ここで聞いた「困っている」に対して、すぐに解決策を提示しないこと。まず「どうしたいと思っている?」と本人の考えを聞く。自分で解決策を見つける力を育てることも、1on1の重要な役割だ。
カテゴリ3:チーム・人間関係に関する質問
職場の人間関係は、仕事のパフォーマンスに直結する。でも本人からは言い出しにくいテーマでもある。
- 「チームの雰囲気はどう感じてる?」
- 「チーム内で、もっとこうなるといいなと思うことは?」
- 「一緒に仕事をしていて、学びになっている人はいる?」
- 「チーム内のコミュニケーションで、改善できそうなことはある?」
- 「自分の意見が言いやすい環境だと感じる?」
- 「誰かとの関係で気になっていることはある?」
- 「チームミーティングの進め方について、何か思うことはある?」
この質問群のポイント
「誰かとの関係で気になっていることはある?」は、ハラスメントや人間関係のトラブルを早期に発見するための重要な質問。ただし、無理に聞き出そうとせず、「いつでも話してくれていいからね」というスタンスで。
チームの雰囲気については、直接的に聞くと「特に問題ないです」と返されることが多い。「最近のチームミーティングで、一番良かったことは?」のように具体的な場面を指定すると、答えやすくなる。
カテゴリ4:成長・キャリアに関する質問
メンバーの長期的な成長を支援する質問。月に1回程度、このテーマで深く話す時間を作るといい。
- 「半年後、どんなスキルが身についていたら嬉しい?」
- 「今の仕事で、一番成長を感じている部分は?」
- 「挑戦してみたい仕事や役割はある?」
- 「将来的に、どんなキャリアを描いている?」
- 「今の仕事で、もっと任せてほしいと思っている領域は?」
- 「スキルアップのために、何かやっていることはある?」
- 「ロールモデルにしている人はいる?それはなぜ?」
- 「3年後の自分を想像したとき、どんな姿が理想?」
- 「今の会社でやりたいことと、実際の業務にギャップを感じることはある?」
この質問群のポイント
キャリアの質問は、答えがすぐに出ないことも多い。「まだ考えていません」と言われても、それ自体が情報。「じゃあ、次回までにちょっと考えてみてくれる?」と宿題にするのも手だ。
「挑戦してみたいこと」を聞いたら、可能な範囲でその機会を作ること。聞きっぱなしで何も変わらないと、メンバーは「言っても無駄」と感じるようになる。
カテゴリ5:フィードバックを求める質問
マネージャーから一方的にフィードバックするだけでなく、メンバーからマネージャーへのフィードバックも求める。
- 「自分のマネジメントで、もっとこうしてほしいことはある?」
- 「サポートが足りないと感じることはある?」
- 「最近の私のコミュニケーションで、気になったことはある?」
- 「チームの方針について、疑問に思っていることはある?」
- 「1on1の進め方で、改善できることはある?」
- 「もっとこういう情報を共有してほしい、ということはある?」
この質問群のポイント
メンバーからマネージャーへのフィードバックは、心理的安全性が高くないと出てこない。最初は「特にないです」と返されるのが普通。
それでも聞き続けることが大事だ。「本当に何でも言ってくれていいからね」と言うだけでは信用されない。「前回○○と言ってくれたから、こう改善してみたんだけど、どう?」と行動で示すことで、初めて信頼が生まれる。
カテゴリ6:モチベーション・エンゲージメントに関する質問
メンバーのモチベーションの状態を把握し、低下の兆候を早期にキャッチする。
- 「今の仕事で、一番やりがいを感じる瞬間は?」
- 「逆に、モチベーションが下がると感じるのはどんなとき?」
- 「朝、仕事に向かうとき(PCを開くとき)の気持ちはどんな感じ?」
- 「最近、『この仕事やっていてよかった』と思った瞬間はあった?」
- 「もし何でも変えられるとしたら、仕事のどこを変えたい?」
- 「ワークライフバランスは満足している?」
- 「今の仕事は、自分の強みを活かせていると思う?」
この質問群のポイント
モチベーションの低下は、早期発見が重要。「朝の気持ち」を聞くのは、メンタルヘルスのスクリーニングとしても有効だ。「最近、月曜の朝が憂鬱で…」という回答が出たら、深く聴く必要がある。
「何でも変えられるとしたら」という仮定の質問は、本音を引き出しやすい。現実の制約を一旦外すことで、本当に望んでいることが見えてくる。
カテゴリ7:1on1を閉じるときの質問
最後に確認する質問。やりっぱなしにしない。
- 「今日話した中で、一番大事だと思ったポイントは?」
- 「次の1on1までにやってみたいことはある?」
- 「他に話しておきたいことはある?」
- 「今日の1on1、役に立った?」
- 「次回は何をテーマにしたい?」
この質問群のポイント
「一番大事だと思ったポイント」を本人に言語化してもらうことで、対話の内容が定着する。また、「次にやること」を明確にすることで、1on1が単なるおしゃべりではなく、行動につながる場になる。
1on1で避けるべきNG行動
質問リストと同じくらい大事なのが、やってはいけないことの認識。
NG1:自分が話しすぎる
マネージャーの話す割合は3割以下が理想。7割はメンバーに話してもらう。自分のアドバイスや経験談は、求められたときだけ。
NG2:「なぜ?」を連発する
「なぜ遅れたの?」「なぜそう思うの?」の連発は、尋問のように感じさせる。「何があったの?」「どんなことが背景にある?」に言い換えるだけで印象が変わる。
NG3:スマホやPCを見る
1on1中にメールを確認する、通知を見る——それだけで「自分の話は大事じゃないんだな」と思われる。30分だけは完全に相手に集中する。
NG4:結論を急ぐ
「じゃあこうしよう」とすぐに解決策を出したがるのは、マネージャーあるある。でもメンバーは解決策を求めているのではなく、「聴いてほしい」だけのことも多い。「どうしたいと思っている?」とまず聞こう。
NG5:話した内容を評価に使う
1on1で話した悩みや弱みを、人事評価のネガティブ材料にするのは絶対にNG。一度でもそれをやると、二度と本音は話してもらえない。
1on1の質問に困ったときの対処法
毎週30分、質問を考え続けるのは正直大変だ。いくつか対処法を紹介する。
メンバーにアジェンダを持ってきてもらう
「今週の1on1で話したいことを、事前に1〜2個考えてきてね」と伝える。メンバー自身がテーマを持つことで、主体的な対話になる。
質問カードを作る
この記事の質問をカード化して、ランダムに1枚引いてみる。予想外の質問が出ることで、マンネリを防げる。
ツールを活用する
トークテーマルーレットのようなランダムテーマ生成ツールで話題を決めるのも面白い。特に「仕事以外の雑談」をしたいときに使うと、意外なテーマが出て場が和む。業務の話が続いてお互い疲れたときに、気分転換として取り入れるのもいい。
テーマを事前に決めておく
- 第1週:体調・コンディション
- 第2週:仕事の状況
- 第3週:成長・キャリア
- 第4週:フリーテーマ
のように、週ごとにテーマを決めておくと、質問を考える負荷が減る。
1on1は「回数」ではなく「質」
1on1を週1回やっていても、毎回「特に話すことないですね」で終わるなら意味がない。逆に月1回でも、深い対話ができていれば十分な場合もある。
大事なのは、メンバーが「この時間は自分のためにある」と感じられること。そのために、今日からできることは一つ。質問を変えてみることだ。
「最近どう?」の代わりに、この記事の質問をひとつ試してみてほしい。きっと、返ってくる答えが変わるはずだ。
部下のタイプ別・1on1質問リスト
ここまで目的別に質問を整理してきたが、同じ質問でも部下のタイプによって響き方がまるで違う。真面目で自己評価が低い部下に「何か困ってることある?」と聞いても「大丈夫です」で終わるし、積極的でよく話す部下に「最近どう?」と聞くと30分止まらない。
タイプに合わせて質問をチューニングすると、1on1の質がぐっと上がる。
タイプ1: 寡黙で自分から話さない部下
このタイプに「何かある?」と聞いても返ってこない。選択肢を用意して答えやすくするのが有効。
- 「最近の仕事、AとBだとどっちが楽しい?」(二択にする)
- 「先週の○○、うまくいったと思う?1〜10でいうと?」(数字で答えられる質問)
- 「今一番時間がかかってる作業って何?」(具体的な事実を聞く)
- 「前回△△って言ってたけど、その後どうなった?」(前回の発言を拾う)
沈黙を恐れずに待つことも大事。10秒の沈黙が気まずくても、相手は頭の中で言葉を選んでいるだけかもしれない。
タイプ2: よく話すけど表面的な部下
話は多いけど、核心に触れない。笑顔で「大丈夫です!」と言うけど、本当は抱えている——そんなタイプには切り口を変えて同じ質問をする。
- 「チームの雰囲気で『もったいないな』と思うことは?」(自分のことではなくチーム視点で聞く)
- 「もし自分がマネージャーだったら、何を変える?」(立場を変えて考えさせる)
- 「最近、仕事中に『これどうなの?』と思った瞬間はあった?」(違和感にフォーカスする)
ストレートに「何か不満ある?」と聞くと「ないです」で終わるが、角度を変えると本音がポロッと出てくることがある。
タイプ3: 成長意欲が高い部下
このタイプには挑戦と成長を促す質問が響く。
- 「半年後にできるようになっていたいことは?」
- 「今の仕事で、もっと裁量がほしい部分はある?」
- 「自分の弱みだと思っている部分は何?それをどう克服したい?」
- 「社内外でロールモデルにしている人はいる?その人のどこを見ている?」
このタイプの部下は質問に対する回答がクリアなことが多い。だからこそ「聞いた内容を次のアクションにつなげる」ことが大事。聞きっぱなしだと「言っても何も変わらない」と感じて、モチベーションが下がる。
タイプ4: 最近元気がない部下
明らかに以前より活気がない部下には、業務から離れた質問から入る方がいい。
- 「最近、プライベートで楽しいことあった?」
- 「よく眠れてる?」
- 「1ヶ月前と比べて、仕事のモチベーションはどう変化した?」
- 「自分にできるサポートで、一番助かることは何?」
深刻な問題を抱えている場合は、1on1の枠を超えて産業医やカウンセラーにつなぐ判断も必要。マネージャーが全てを解決しようとする必要はない。
部下のタイプは固定ではない
同じ部下でも、時期やプロジェクトの状況によってタイプが変わる。先月は積極的だったのに、今月は寡黙になっている——そういう変化に気づけるのも、1on1を継続している意味だ。
質問リストは「使い分ける」のがポイント。このリストをスマホにブックマークしておいて、1on1の直前に「今日の相手にはどの質問が合うかな」と選ぶだけで、毎回の1on1が少しずつ変わっていくはずだ。